「活動を通し、人の輪が広がれば」という宇都宮千佳
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浅野川
風情と情緒文学の香りも
金沢市内を流れる浅野川。大橋周辺には古い町並みなど金沢らしい風情と情緒が色濃く残り、文学の香りも漂う。「女川」に魅せられた女性たちの姿を追った。(山崎栄二)
(敬称略)
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浅野川の清掃と川面を明かりで照らす活動に3年前から取り組んでいる「女川に菜の花油の灯をともす会」。代表の一人でダンスパフォーマーの宇都宮千佳(45)(金沢市)は、時間があると、けいこ場も兼ねた住まいがあるビルから川を見つめる。
国内外を転々としたが、腰を落ち着け、長く住む場所として、97年、大学時代の4年間を過ごした金沢を選んだ。「犀川と浅野川だったら私はこっち。気分的なものだけれど」
北海道東部の西別川沿いで自然保護に取り組む団体が主催したコンサートに出演したのをきっかけに、地元の川に目を向けるようになった。「川を明かりで照らしてもきれいになるわけじゃないけど、少しでも川に目を向けてもらい、活動の輪を広げたい」と願う。かつてこの周辺で生産されたと言われる菜種油の明かりで、今月20日、大橋〜天神橋間を照らす予定だ。
・橋のある風景 ・優雅な祭りの舞台に ・「変わらない金沢」の象徴

安江貴子
子どものころ、母に連れられて大橋沿いにあった映画館で洋画を見た金沢蓄音器館の安江貴子(41)(同)は、夕焼けが川面を彩る中、母と川沿いを歩いて家路についた情景を今も鮮明に思い出す。「橋にそれぞれ特徴があって、このあたりは次の橋がちゃんと見える。橋のある風景っていいですよね」
川沿いの主計町茶屋街の裏通りから通称「暗がり坂」を上ると、同館近くの久保市乙剣宮神社に出る。「観光客は、ひがし茶屋街周辺を歩かれるけど、一つ橋を渡ってどこに出るかわからない迷い道も楽しんでほしい」と願う。
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ふみ
春の風物詩ともなっている金沢・浅の川園遊会。ひがし茶屋街の芸妓ふみ(54)(同)は、川の中に設けられた「浮き舞台」で15年間、祭りの呼び物「水芸・平成滝の白糸」の水芸大夫を務めてきた。
芸妓として踊りを大事にしたいと、この春限りで大夫を勇退。「一生懸命やってきて愛着もある。違う分野だけど、奥が深く、本当に勉強になった」という。
4歳からお茶屋で下働きをしながら育ち、浅野川や卯辰山、路地、そして芸事がいつも身近にあった。「着物で行きたいと思うような、ここならではのしっとりと、優雅なお祭りに育ってほしい」
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千代紀美
朗読を通じて金沢の文学や情緒を伝える活動に取り組む朗読小屋「浅野川倶楽部」。部員の千代紀美(66)(小松市)は「本を読むと、金沢にしろ、浅野川のことにしろ、もっと知りたくなる。金沢の人ならなおさらだろうと思う」という。
小松弁のアクセントに苦労しながらも、発声法などを学び、浅野川かいわいが舞台の徳田秋聲作「感傷的の事」などの朗読指導を受ける。月2回以上、大橋近くの朗読小屋を訪れるようになり、周辺を歩く機会も増えた。「川があるだけでまち全体が柔らかい。すがすがしい気持ちなる」
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島周子
主計町茶屋街にある「木津屋旅館」のおかみ島周子(70)(金沢市)は早朝、気がふさぐと、「中の橋」の真ん中で上流に向かって深呼吸をする。「気分いいですよ。元気もらって、またやろうという気になるの」
戦前にお茶屋から商売替えした旅館に嫁いだのは50年近く前。辺りは毎晩お祭り騒ぎで、堤防に腰掛けた芸妓がうちわを手に夕涼み――。往時の隆盛はなくても、街のたたずまいは昔のまま。お盆には、金沢を離れた人たちが「変わらない金沢」を求めて宿をとる。
「川に桜、主計町。これからもずっと変わってほしくないですね」。思いは常連客と同じだ。
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(2005年8月7日 読売新聞)